住宅ローン控除の改正のポイント
適用期限を2025年末までの入居に適用する。
控除率を1%から0.7%に引き下げ。
住宅性能に応じた借入金残高の上限設定が設けられた
所得要件を合計所得金額3,000万円から2,000万円に引き下げ。
今回の改正でメリットがある人は
自分の所得税・住民税が上限であるため、改正前の控除率1%をフルで受けられなかった人。
認定住宅などの高性能の住宅の購入を検討している人。
デメリットがある人は
所得要件で住宅ローン控除の対象外になる高所得者。
所得税が大きく、改正前の控除率1%をフルで受けられる人。
2024年以降に省エネ基準を満たさない住宅の購入を検討している人。
住宅ローン控除とは・・・
銀行から長期間借入れをして住宅を取得する人に対して、家計の負担を軽減する制度。
従来の住宅ローン控除とは
入居期限:2021年末までに入居すること。
控除率:1%
控除期間 新築:13年間(消費税10%に引き上げに伴う特例措置で、11〜13年目の計算は別計算です。)
中古:10年間
所得要件:合計所得金額が3,000万円以下であること。
床面積:50m2以上であること。
合計所得金額が1,000万円以下等の要件を満たす場合は、40m2以上であること。
ただし、改正後は、2023年までに建築確認を受けた新築住宅に限る。
改正後の住宅ローン控除とは
入居期限:2025年末までに入居すること。
控除率:0.7%
控除期間 新築:原則13年間
中古:10年間
所得要件:合計所得金額が、2,000万円以下であること。
床面積:従来の住宅ローン控除と同じ。
また、今回の改正で住宅性能や入居時期で借入金残高が細分化される。
新築の場合は下の表のようになります。
住宅の種類 | 2022〜2023年入居 | 2024〜2025年 |
認定住宅 | 5,000万円 | 4,500万円 |
ZEH※2水準省エネ住宅 | 4,500万円 | 3,500万円 |
省エネ基準適合住宅 | 4,000万円 | 3,000万円 |
省エネ基準に満たさない住宅 | 3,000万円 | 2,000万円※1 |
ただし、※1については、2023年に建築確認を受けた新築住宅のみに適用されます。また、2024年以降に建築確認を受ける場合は、登記簿上の建築日付が2024年6月30日以前であれば適用対象となります。
※2 ZEH(ゼッチ)とは、net zero energy house の略です。住宅の断熱性能・省エネ効率や太陽光エネルギー等の性能を向上させて、エネルギーの消費をできる限り抑制していくこと。政府が今進めているカーボンニュートラルの政策の一環でもあります。
住宅ローンを受ける時の手続きも改正されました。
ポイントとしては
1.確定申告や年末調整で住宅ローン控除を受ける時の借入金の年末残高証明書の提出が不要になった。
改正点 → 銀行等が借入金の年末残高を記載した調書を税務署に提出して、税務署が納税者に住宅ローン控除証明書を発行する。
2.木造等築20年以内、マンション等築25年以内の築年数要件が廃止された。
また、登記簿上、1982年1月1日以降の中古住宅は新耐震基準に適合しているとみなされて、耐震基準適合証明書の提出も不要になった。
注意点
すでに住宅ローン控除の適用を受けている人は、入居時の税制で10年間もしくは13年間の控除が受けられるということに注意して下さい。
誤字・誤記入等があり得ます。家を買う時は、第三者の人に相談して下さい。
もっと詳しく知りたい方は、お近くのCFP・AFPや税理士の方に相談してください。
FPジャーナル6月号(日本FP協会、2022年)より内容を加筆修正して転載しています。
2022年6月25日作成